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ファーマシーそま通信2026年秋号

2026.10.07

ファーマシーそま通信 2026秋号
           私たちのオススメ


~秋の養生 秋は肺の季節です!~
                   川元尚子

 酷暑の季節を耐え、少し涼しくなってきました。秋がやってきます。
中医学では秋は「肺」「皮膚」「大腸」「鼻」と関係がある、と考えています。
秋になり空気が乾燥してくると、外気とつながっている鼻も乾燥します。鼻づまりなどの症状が出る場合があります。
肺が乾燥するとから咳が出たり、粘っこい痰が咽に張り付くようなこともあります。
これらの鼻や咽の症状は、肺を潤す(麦門冬湯)、肺の熱を取る(麻杏止咳顆粒、辛夷清肺湯)など、
肺を治療する漢方薬で治していきます。

また大腸が乾燥すると便が乾燥して便秘になりやすくなります。便が詰まると鼻や咽の通りも滞り、
鼻詰まりや喘息などの症状が改善しにくい、または悪化することも考えられます。

腸を潤し便を出しやすくする漢方薬を使用することも考えましょう。
今年の夏はこれまでにない暑さでたくさんの汗をかき、思いのほか体液を消耗している方が多いでしょう。
夏に引き続き“麦味参顆粒”などを服用するのも良いかと思います。
そして、辛い物――唐辛子や生姜、わさび、にんにくなどを摂りすぎると、肺の炎症を誘発しやすいので気を付けましょう。



睡眠の謎に挑む!!
~健やかな睡眠から始まるウエルネス~
―筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 機構長・教授
(株)S‘UIMIN取締役会長 柳沢正史先生 講演よりー

                              兒玉眞理子
☆    睡眠はすべての生き物に与えられた命の仕組み
 睡眠は、私たち人間だけでなく、地球上のあらゆる生き物に備わった根源的な生命現象です。近年では、脳を持たないクラゲでさえ眠ることが科学的に示されており、これは「睡眠が脳よりも先に発明された」ことを意味します。よく「睡眠は脳の休息」と言われますが、睡眠中の脳は電気的な活動をほとんど下げず、外界から切り離されたオフラインの状態で情報の整理やメンテナンスを行っています。
 哺乳動物の睡眠は「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の二つに大別されます。レム睡眠は「浅い眠り」と誤解されがちですが、実際は脳がオフライン化された状態で非常に活性化し、鮮明な夢を見ている独特の深い睡眠状態であり、筋肉は完全に脱力しています。これら二つの状態を繰り返すサイクルは1~1.5時間の間で大きく揺らぐため、「90分の倍数で起きると良い」という説は不正確です。また、深い睡眠が集中する最初の3時間だけでなく、後半に増えるレム睡眠も重要であり、睡眠のゴールデンタイムは「一晩全体」なのです。さらに、睡眠の質やパターンは年齢とともに変化します。30~40代頃から深い睡眠が減り、中途覚醒が増え始めますが、これは自然な変化であり「そういうものだ」
と受け入れる方が精神的に健康です。

 また、朝型・夜型の体質はDNAレベルで決まっており、年齢によっても変化します。子供は朝型ですが、中高生から20代に
かけて約2時間遅れて夜型にシフトし、その後再び朝型へと戻り、高齢になると早起きになります。若者の夜型傾向は生物学的な
特性であるため、その特性を理解することが重要です。

☆    睡眠不足は気付かないうちにすべてを奪っていく
 現代社会において、睡眠不足は気付かないうちに私たちの健康と能力を蝕む大きな脅威です。睡眠不足とは「不眠」のように眠れない状態ではなく、本人が必要なだけの睡眠時間を確保していない状態を指します。睡眠が不足すると、単純な注意力だけでなく、物事の裏側に気付く洞察力やクリエイティビティが著しく低下します。
 驚くべきことに、徹夜明け(24時間起き続けた状態)の脳のパフォーマンスは、血中アルコール濃度0.1%の状態(ワインボトル1本空けた時くらい)のパフォーマンスに匹敵し、車の運転なら完全に飲酒運転の基準を超えている危険な状態です。さらに、4時間しか眠らない日々を5日間続けるだけで徹夜状態と同レベルまで能力が落ち、2週間続ければ3日間徹夜したのと同じ状態にまで低下します。
 しかも厄介なのは主観的な「眠い」感覚は一定以上あがらないため、自分では能力低下に気付けません。そこが睡眠不足の最も怖い点です。
 睡眠不足は感情のコントロールも難しくさせ、イライラする、利他的な行動ができなくなるほか、企業業績への悪影響も確認されています。身体面でも、睡眠障害が慢性化すると高血圧、糖尿病、心臓病、免疫力低下によるがんのリスクが軒並み上昇します。一晩徹夜しただけでもアルツハイマー病の原因となるアミロイドβが増加し、4時間睡眠を2週間続けただけで悪玉の内臓脂肪が11%も増加します。まさに健やかな睡眠は「健康の1丁目1番地」なのです。

☆    自分の睡眠を正確に知ること
 ではどうすればよいのか。質の高い睡眠をとるためには、まず自分の睡眠状態を正しく知ることが不可欠ですが、正確に把握できている人はほとんどいないというのが現実です。調査によれば、自分では「充分眠れている」と思っている人のうち、およそ4割が客観的な計測では「もう少し睡眠が必要な状態」であることが分かりました。睡眠中は意識がないため、主観的な感覚はいかに当てにならないかを示しています。中でも見過ごされている重大な危険が「睡眠時無呼吸症候群」です。睡眠中に舌根が落ち込んで気道が塞がる病気で、潜在患者は国内で推計2200万人に上りますが、実際に治療を受けているのは数十万件程度であり、99%近い人が見逃されています。驚くべきことに、「自分は睡眠に満足している」と感じている人でさえ、客観的に測ると6人に1人が睡眠時無呼吸を引き起こしているのです。重症になると1時間に50回以上呼吸が止まり、血中の酸素濃度が極端に低下します。脳が命の危険を感じて覚醒するため、睡眠がズタズタになります。重症の無呼吸を治療せずに放置した場合、15~16年の間に4割の人が脳卒中や心筋梗塞などで命を落とすか、重い後遺症を抱えることが分かっています。*1
 睡眠の問題を解決する第一歩は、自分の睡眠を客観的に「知る」ことです。

☆    今夜からできる良い睡眠のための習慣
 健康的な生活を送るために、まずは「自分にとって本当に必要な睡眠時間」を知りましょう。
連休等を利用して目覚まし時計をかけず眠れるだけ眠る環境を3~4日続けると、最初は普段の睡眠負債を返すために長く眠りますが、やがて睡眠時間が安定してきます。これがあなたにとっての「必要十分な睡眠量」です。平日に忙しくて睡眠不足になった分は、休日に長く眠ってある程度取り戻せますが、それは借金を返すことであり、「寝だめ」はできません。忙しいからと睡眠時間を削り「質を高めたい」と考える人もいますが、睡眠不足を「質で補う」ことには限界があります。まずは十分な睡眠時間を確保することが重要です。
 夜の証明とスマートフォンの使い方も重要です。睡眠への影響という点では、スマートフォンの画面の光を気にするよりも、まずは夜の部屋の照明を暗くすることが重要です。海外のホテルやレストランのように少し暗いと感じるくらいの明るさにするのがおすすめです。
 就寝前のスマートフォンは、画面の光よりも、SNSやショート動画などインタラクティブな操作を要求されるコンテンツが問題となります。
能動的な操作が、脳内のドーパミンを過剰に分泌させ、覚醒系を刺激し続けて眠気を吹き飛ばしてしまいます。また、寝つきを良くしようとして「寝酒」に頼るのは睡眠学的に明確なNG行為です。
 睡眠は余った時間にとるものではなく、必ず返済しなければならない「住宅ローン」のように最優先で確保すべき時間です。今夜の眠りからぜひ見直してみてください。

*1 額と耳の後ろに薄い電極シートを装着するだけで、脳波や睡眠の質、睡眠時無呼吸の有無などを自宅で高精度で検査できるサービスInSomnograf(インソムノグラフ)(株式会社S‘UIMIN)
              以上講演より

 私も、たまの休みに目覚まし時計をセットしないで寝てみたら、8時間は眠りたいようです。
睡眠不足にとても弱いほうなので、寝るようにはしていますが、少しずつ足りてないのですね。
 ただ、この実験をする時、就寝時間を早くしないと、起きている時間帯がどんどん夜の方にずれていくので注意が必要でした。        兒玉眞理子